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最近のCT撮影で分かってきた事

最近のCT撮影で分かってきた事

前回のコラムで出てきた14歳の男の子のオルソ(レントゲン写真)では、歯根の先に大きな病巣が二つ見えていますが前後の病巣の広がりを知ることはできません。しかし根管充填後再度腫れが出てきたのでCT撮影を行いました

オルソでは2次元的にしか撮影できませんが、CTでは3次元的に歯や歯槽骨の状態を確認することができます。一つ一つの病巣に見えていたものが歯槽骨が溶けて一つの大きな病巣になっていますし、その上の黒く見えた影も無駄に削られて穴が空いた部分が原因で病巣になっているのが確認でき、なんとそれも根の先の病巣と繋がっていました。

14歳の中学生の大事な第1大臼歯がこのようなひどい状態になった事を、この歯を最初に処置(抜髄)した歯科医師そして再治療を手がけて全く関係のない部分を削ってしまった歯科医師には十分反省してほしいと思っています。前回にも書きましたが、根管治療を行う時に私がモットーにしているのが

  ①ラバーダム防湿をする②拡大視野(マイクロスコープや拡大鏡を用いて)で治療する ③ゆっくりと時間をかけて治療する ④事前の説明をきちんとして、言い訳をせずに治療の予後に責任を持つ

ですが、CT撮影については設備投資金額が大きいのであえて書きませんでしたが難症例の場合は必須の設備ではあります。根管治療は保険点数も低くきちんと行い、予後を何年も責任を持ってみていくという事は正直大変な事なのですが、保険医である以上は責任を持って行いたいものです。

次の患者さんは60歳女性で最初は一番奥の歯がしみるという事で精査すると歯に表面に亀裂が入っており修復物をやり直し、一旦症状は無くなりましたが数ヶ月後今度は奥の歯肉が腫れて歯が浮くと訴えてきました。その時のレントゲン写真なのですが、正直原因がハッキリしないのでCTを撮影してみました

普通のレントゲンでは写っていなかった、歯槽骨の吸収が歯根を包み込むように大きく広がっていました。また歯根も非常に湾曲していてそれが骨吸収を広げてしまったのかもしれません。ただこの歯の神経は健全でしっかりと生活しています。10年前のオルソにはこの歯の奥に親知らずが潜っていて、症状が出てきたために抜歯をしています。2019年のオルソではやはり異常は認められませんが、おそらく現在のような骨吸収は始まっていたのかもしれません。

最近のCT撮影で分かってきた事は、恥ずかしながら歯科医師として42年間経験してきた以上に歯槽骨の状態というのは複雑で、特に症状が複雑だったり診断がハッキリつけられない場合など、CT撮影がその疑問を晴らしてくれる事が多くなるようになりました。撮影費用は3割負担で3500円かかってしまいますが、患者さんには理解してもらい必要ならば撮影しようと思っています。最後に、普通のレントゲン写真でも骨吸収が広範囲とわかる歯もCTだともっとハッキリとわかるように写っています